【SideStory-02】エデッサ・フォン・エシュタリアの手記 「大陸暦155年はエシュタリア大陸史にとって最もエキサイティングな年と なった」とは、アーセレナの考古学者ルイ・アレンの後の弁である。  この年、ルイは4カ国共同の第ニ次調査隊に参加し、タラスの古代遺跡で一 冊の手記を発見した。ところどころ傷んで読解不可能なところはあるものの、 ほぼ完全な形で発掘されており、その事自体驚きをもって伝えられた。    『精霊の住まう地、エシュタリア     四のエレメントによって支配されし世界     火の精霊フレイドの加護を受けし者     全てを破壊し無から生命の再生を促す者なり     水の精霊ウィンディーンの加護を受けし者     母なる心をもって新たなる生命を生む者なり     風の精霊ファレーンの加護を受けし者     生まれたる生命を運び世界に広める者なり     地の精霊アーセレナの加護を受けし者     慈愛の心をもって生命を育む者なり     我、エシュタリアの番人として     四のエレメントの活性と均衡を願う―      ―エデッサ・フォン・エシュタリアの手記より』  手記の解釈をめぐっては、「エシュタリア大陸そのものが、王家の一族によ って管理・統制されている支配社会なのではないか」という説と、「ただ単に、 王国を統べる者としての心意気を語っているに過ぎない」という説とで、今も なお、激しい論争が続いているが、お互いに論を確固たるものとする決め手も ないまま、無為に時間ばかりが過ぎている。  古代エシュタリア王国に関しては、現在に至っても、実はあまり詳しいこと は分かっていない。大陸暦のはるか昔、大陸全土を支配していた王国が存在し ていた事、それがエシュタリアという王族によって世襲統治されていた事、王 家の一族はフォン・エシュタリアの称号で呼ばれていた事、そして、王国の首 都が今のタラス高原付近にあったらしいという事、くらいがせいぜいである。  当時の状況を示す文献や遺跡が、疑問すら覚える程にほとんど存在していな い事に加え、大平原・タラス高原付近では絶えず4カ国で戦が続いており、唯 一調査対象になり得る古代遺跡での調査さえも一向に進まないからである。  現在、平和条約を機に、4カ国共同の第三次調査隊が古代遺跡の調査にあた っており、第二次調査隊が発掘した「エデッサ・フォン・エシュタリアの手記」 以上の成果・報告が待たれるところである。